売掛金と回収予定

売掛金の年齢分析とは?期日を過ぎた債権を見つける表の作り方

公開:2026年10月21日 / 執筆:岡田健志(公認会計士・税理士)

売掛金の合計が分かっていても、どの請求が、いつから残っているかが分からなければ、回収の遅れを見落とします。売掛金の年齢分析は、基準日時点で未回収の債権を発生日や支払期日ごとに並べ、長く残っている金額と期日を過ぎた金額を確認する方法です。

見るべき日付は二つあります。発生からの経過日数は、売掛金が長期間残っていないかを見るためのものです。支払期日からの超過日数は、約束された入金が遅れていないかを見るためのものです。支払条件が長い取引では、発生から日数がたっていても期日は未到来という場合があります。中小機構も、得意先ごとの残高・回収条件と売上債権年齢を定期的に確認するよう案内しています。中小機構 J-Net21「売掛金の回収状況を改善したい」

まず、基準日と未回収額を確定する

月末などの基準日を一つ決め、基準日までに計上した売掛金と、その日までに実際に入金・消込した金額を確認します。集計は得意先合計だけでなく、請求番号や取引単位まで下りて行います。新しい請求への入金で得意先の合計が減っていても、古い請求が残ったままのことがあるためです。

最低限、次の項目を並べます。

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項目確認する資料と意味
得意先・請求番号請求書と売掛金元帳で債権を特定する
売上計上日・請求日発生からの経過期間を見る。両日が違う場合は分けて残す
支払期日契約・請求条件から確認し、期日超過を判定する
請求額・入金済額・未回収額一部入金、値引き、相殺などを区別して残額を確かめる
入金状況・次の確認日銀行明細、相手先の回答、担当者の対応を記録する

未消込の入金、請求書未発行の売上、返品や値引きの処理漏れがあれば、表の年齢が正しくても判断を誤ります。請求・入金の照合と、表の未回収額合計が帳簿の売掛金残高と一致するかを先に確認してください。中小企業庁の債権管理資料も、得意先別の前月残高・当月発生額・当月回収額・当月残高を管理し、回収条件と照合する方法を示しています。中小企業庁「中小企業の会計に関する基本要領」解説資料・債権管理

架空の年齢表で、期日超過を分ける

次は実在しない会社の例です。基準日は2026年9月30日、売上計上日と請求日は同日、金額は基準日時点の未回収額とします。経過日数・超過日数は、それぞれ売上計上日・支払期日の翌日を1日目として基準日まで数え、期日当日は超過0日とします。

単位:万円

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請求売上計上・請求日支払期日未回収額発生からの経過日数期日超過日数
A2026/8/312026/10/3112030日期日未到来
B2026/8/312026/9/208030日10日
C2026/7/312026/8/316061日30日
D2026/6/302026/8/154092日46日
E2026/6/302026/7/312092日61日
合計320

この例では、発生から約3か月のDとEに加え、期日を過ぎたBとCも確認対象です。Aは発生から30日ですが、9月30日時点では期日未到来です。「古い」ことと「支払遅延」は同じではありません。

期日超過で区分すると、次のようになります。区分の幅は管理用の例で、法令上の判定基準ではありません。

単位:万円

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期日超過の区分対象未回収額
期日未到来A120
1~30日B・C140
31~60日D40
61日以上E20
合計320

期日超過額は140+40+20=200万円、売掛金残高320万円に対する割合は62.5%です。比率だけで回収不能とは判断できませんが、同じ集計方法で毎月比較すると、どの得意先・請求で遅れが広がったかを追えます。

期日を過ぎたら、理由と回収予定を確認する

年齢表は、古い金額を色付けして終わりではありません。期日超過の請求について、次の順で確認します。

  1. 入金の見落としを除く:銀行明細、振込名義、別口座への入金、未消込の入金を確認する。
  2. 請求条件を確かめる:契約上の締日・支払日、請求書の到達、検収や請求内容の相違を確認する。
  3. 先方の状況を記録する:相手先の回答、入金予定日、担当者、次回確認日を残す。
  4. 資金予定に反映する:回収日が未定なら、確実な入金として扱わず、近い支払日までの残高を見直す。

入金が遅れたときは、取引先に連絡し、原因と入金予定を確認します。中小機構の資金繰り解説も、売掛金の発生日と回収予定日を得意先ごとに整理し、予定日に入金されたかを定期的に確認する方法を示しています。中小機構 J-Net21「資金繰り改善のための財務・資本戦略」

期日未到来の売掛金も見逃せません。特定の得意先に残高が集中していないか、契約どおりでも回収までの期間が長すぎないかを確認します。回収日が先なら、今月の支払いに充てられる現金ではありません。資金繰り表の作り方

長く残った売掛金を、機械的に貸倒れにしない

年齢表の「61日以上」などは、社内で確認の優先順位を付ける区分です。その区分に入っただけで、売掛金が消えたり、税務上の貸倒損失になったりするわけではありません。国税庁は、法律上の債権切捨て、全額回収不能が明らかな場合、一定期間の取引停止後に弁済がない場合などを分けて示しています。計上の可否と時期は個別の事実で確認します。国税庁「貸倒損失として処理できる場合」

回収が難しい可能性があるときは、契約書、請求書、入金履歴、連絡・交渉の記録、相手先の状況を保存します。会計上の評価や税務上の処理は、年齢表の数字だけで決めず、資料をそろえて判断します。

毎月、同じ基準日で見直す

月次では、前月の年齢表と比べて、期日超過額が増えた先、古い請求が翌月も残った先、新たに大きな残高が生じた先を確認します。得意先の合計だけでなく、請求ごとの残額と対応履歴を残すと、経営者・営業・経理で次の行動を決めやすくなります。法人の月次経理チェックリスト

売上と利益は増えたのに現金が少ない場合は、売掛金の増加や回収日も確かめます。黒字なのに現金がない理由では、利益から現預金の増減を追う方法を解説しています。

よくある質問

売掛金の年齢は、発生日と支払期日のどちらから数えますか?

目的で使い分けます。長く残る債権を見つけるには発生からの経過日数、約束した回収日の遅れを見つけるには支払期日からの超過日数を見ます。この記事の区分表は期日超過日数で作っています。

一部入金があった請求はどう載せますか?

どの請求への入金かを確認し、基準日時点で残る金額を載せます。消込先が分からない入金を任意の請求へ当てず、銀行明細と請求番号を照合してください。

支払期日が分からない売掛金はどうしますか?

契約書、発注書、請求書、過去の入金条件で確認します。確認できるまで「期日不明」として別に管理し、期日超過の集計へ推測で入れないでください。

年齢表を、回収と資金判断につなげる

年齢表が役立つのは、誰の、どの請求を、いつ確認するかが決まるときです。岡田健志公認会計士・税理士事務所では、売掛金元帳と請求・入金資料の照合、月次の年齢表、資金予定の確認を会社の実務に合わせて支援します。ご相談の際は、使用中の会計ソフト、売掛金の管理方法、困っている得意先の状況をお知らせください。対応範囲と料金は着手前にご案内します。

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執筆:岡田健志(公認会計士・税理士)。資料確認日:2026年10月20日。表の請求先・金額・日付は架空例です。年齢の区分は社内管理用の例で、会計・税務上の評価を一律に決めるものではありません。

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