設備投資と資金計画

設備投資はいくらで何年で回収できる?投資前に確認する数字

公開:2026年10月21日 / 執筆:岡田健志(公認会計士・税理士)

設備投資を考えるとき、「設備の価格を何年で取り戻せるか」は有用な出発点です。ただし、見積書の本体価格だけを投資額にし、見込み売上をそのまま回収額にすると、計画が楽観的になります。設置費や追加の運転資金を含めた初期支出と、導入によって増える現金収支を分けて見ます。

中小機構は、設備投資の採算を評価する方法として回収期間法を紹介し、投資による売上・費用・キャッシュフローの見積もりを確認するよう示しています。中小機構 J-Net21「設備投資計画における採算性の計算方法」

投資の目的を一つずつ書く

設備が「あると便利」だけでは、効果を数字にできません。例えば生産能力の増加、外注費の削減、不良品の減少、納期の短縮、電力使用量の削減など、何が変わるかを分けます。売上増を見込むなら、設備の最大能力ではなく、受注見込みや稼働日数から販売できる数量を考えます。

省力化で作業時間が減っても、給与の支払額が変わらず、空いた時間で追加売上も得られないなら、その時間数をそのまま現金の節約額にしないようにします。担当者を他の仕事へ回せることは別の効果として示せますが、回収計算に入れる現金効果とは分けます。

本体価格以外の初期資金をそろえる

次は架空の設備投資案です。導入に必要な支出と、増える在庫・売掛金等による追加運転資金を合わせます。税金、補助金、残存価値、運転資金の将来回収はこの簡易例に含めません。

単位:万円

表は横にスクロールできます。

初期の資金負担金額確認資料
設備本体1,000見積書・仕様書
設置・試運転100工事・導入見積書
追加運転資金100在庫・売掛金・買掛金の増減見込み
合計1,200

追加運転資金は設備代金そのものではありませんが、売上が増える前に材料や在庫へ資金を使うなら、投資実行時の資金計画に必要です。中小機構の設備投資解説も、設備投資額に増加運転資金を加えて回収期間を考える例を示しています。中小機構 J-Net21「設備投資で生産性向上編」

追加の現金収支から回収期間を求める

この設備により、実際に回収する追加売上と実際に減る支出から、追加の材料費・保守費等を差し引いた年間の増加現金収支が、1年目から5年目まで毎年300万円と見込まれるとします。減価償却費は現金支出ではないため、この300万円からもう一度差し引きません。借入れによる調達と返済も、事業効果と分けて資金予定へ入れます。

単位:万円

表は横にスクロールできます。

年年間の増加現金収支累計初期負担を差し引いた累計
導入時――△1,200
1年目300300△900
2年目300600△600
3年目300900△300
4年目3001,2000
5年目3001,500300

この仮定では、初期負担1,200万円を年300万円で回収するため、単純な回収期間は4年です。年300万円の見込みが年200万円に下がると、同じ初期負担を回収するまで6年となり、5年の計画期間内には回収できません。販売数量、販売単価、稼働率、保守費について、実現しにくい条件も試算します。

回収期間だけで決めない

回収期間法は分かりやすい一方で、回収後の利益、現金を受け取る時期の違い、設備の故障や需要減少のリスクを十分に表せません。候補が複数あるときは、年ごとの現金収支を並べ、必要に応じて正味現在価値法なども検討します。中小機構も、回収期間法と正味現在価値法など複数の評価方法を紹介しています。中小機構 J-Net21「設備投資計画における採算性の計算方法」

また、4年で回収できる計画でも、導入月の支払に預金が足りるとは限りません。借入れを利用するなら、融資実行日、設備代金の支払日、元金・利息の返済日を別に並べます。借入金の返済予定表の記事/資金繰り表の作り方

よくある質問

設備の減価償却費を年間の現金収支から引きますか?

減価償却費は、設備取得額を期間に配分する会計上の費用であり、その費用計上自体では現金が出ません。この記事のように設備代金を初期支出へ入れ、年ごとの現金収支を計算する場合、減価償却費を重ねて差し引きません。税金の影響を含める詳細な計画では別途検討します。

借入れで全額を賄えば、初期投資はゼロですか?

いいえ。設備の採算を判断する投資額はなくなりません。借入れは資金の調達方法であり、返済元金・利息を含めた資金繰りを別に確認します。

補助金の採択を見込んで計算してよいですか?

採択・交付時期が未確定なら、補助金なしの案も計算します。制度の対象、交付条件、入金時期、会計・税務処理は公募要領と個別事情で確認してください。

投資前の数字を、実行後も追う

投資を実行したら、見込み販売数量、稼働率、追加費用、年ごとの現金収支を実績と比較します。予定とのずれが分かれば、営業活動、稼働計画、保守契約を見直せます。予算と実績の差を確認する方法

岡田健志公認会計士・税理士事務所では、設備投資案の初期資金、回収見込み、借入返済、月次の実績確認をつなぐ支援をご案内します。設備の見積書、導入目的、販売・費用の見込み、借入れの予定をお知らせください。対応範囲と料金は着手前にご案内します。

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執筆:岡田健志(公認会計士・税理士)。資料確認日:2026年10月20日。金額・期間は架空の簡易例です。実際の投資判断では需要、税金、資金調達条件、設備の使用期間とリスクを確認します。

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