会計ソフト変更と経理改善 05 / 06
部門別会計を導入するには?会計ソフト変更時の利益管理の設計
この記事の内容
会社全体の利益は分かるけれど、どの店舗・部門で稼いでいるか分からない。会計ソフトを変更するなら、部門別の損益も見られるようにしたい。こうした場合は、機能を選ぶ前に管理の目的を整理します。
部門別会計は、部門ごとの売上と費用を継続して集計し、利益を確認する仕組みです。 導入では、集計する区分、費用の付け方、共通費の配賦、毎月の確認方法を一緒に決めます。
会計ソフトの変更は見直しの機会ですが、現行ソフトで対応できる場合もあります。この記事では、中小企業が部門別会計を導入する順番と、ソフト選定で確認することを説明します。
部門別会計で何を判断したいかを決める
最初に「部門別の表を作る」から進めて、何を判断するために使うかを決めます。店舗の人員配置、値付け、固定費、営業活動の見直しなど、判断によって必要な数字が変わります。
例えば二店舗を運営する会社を考えます。これは説明用の架空例です。売上だけではA店が大きくても、人件費・家賃等を対応させると、売上からどれだけ利益が残るかは異なります。さらに本部費を配賦した後の利益だけで比較すると、店舗が直接管理できる費用の状況を見落とす場合があります。
店舗の改善を見る資料なら、売上、売上原価、店舗に直接対応する費用、共通費の配賦を区分して表示する方法があります。どの利益を見て何を決めるか、経営者と担当者で共有してください。
部門・店舗と案件の違いを整理する
部門・店舗は継続して見る組織や拠点、案件は受注・工事・プロジェクト等の仕事の単位です。案件が複数部門にまたがる場合もあり、一つの区分で両方を表そうとすると集計しにくくなります。
| 管理する単位 | 見たいことの例 | 決めること |
|---|---|---|
| 部門・店舗 | 組織・拠点ごとの毎月の採算 | 区分の範囲、異動・統廃合時の扱い |
| 案件・プロジェクト | 仕事ごとの採算と進捗 | 案件コード、開始・終了、期間をまたぐ費用 |
| 商品・サービス | 種類ごとの売上と採算 | 分類の粒度、原価の対応、集計元 |
名前が似たコードや旧部門を増やさず、追加・変更する担当と承認方法を決めます。まず継続して入力・確認できる区分から始め、必要に応じて詳しくします。
現在の会計ソフトでできるかを確認する
部門機能があっても、必要な階層、配賦、権限、予算比較等が利用できるかは製品・プランによります。freeeの公式ヘルプも部門タグ、階層、配賦、比較を設定・運用事項として案内しています。freee公式の部門別会計
| 機能・運用 | 確認すること |
|---|---|
| 部門の登録・階層 | 店舗・本部・組織改編を必要な単位で表せるか |
| 入力と連携 | 請求・給与等から部門を引き継げるか、未分類を探せるか |
| 費用の配賦 | 必要な基準・頻度で処理し、変更履歴を残せるか |
| 帳票・比較 | 部門別の月次・累計・前期比較を確認できるか |
| 権限と担当 | 入力・修正・閲覧を必要な人へ分担できるか |
| データ出力 | 集計の根拠や管理資料に必要な項目を出せるか |
デモや試用では、売上、直接費、複数部門にまたがる費用、未分類、訂正の例を入力し、見たい損益まで確認します。ソフトを変える場合は変更・乗り換えの進め方も併せてご覧ください。
売上と費用を同じ区分へ対応させる
売上に部門を付けても、対応する原価や人件費が全社のままだと、部門ごとの利益は比較しにくくなります。請求・仕入・経費・給与等のどの段階で区分を付け、誰が確認するかを決めます。
取引内容から直接対応する費用は、その部門・案件へ付けます。複数に関係する費用は、確認できる内訳で分けるか、共通費として集計してから配賦するかを整理します。
担当者が分からない費用を便宜的に一部門へ集めず、未分類として確認する手順を残してください。販売管理から部門情報を渡す場合は、販売管理と会計の連携も確認できます。
共通費の配賦は目的と根拠をそろえる
本部人件費、共用設備、家賃等の共通費は、費用の性質と管理の目的に合う基準を決めます。人数、使用面積、作業時間等が候補になりますが、すべての費用に一つの基準が適するとは限りません。
| 決める項目 | 確認する内容 |
|---|---|
| 対象 | 直接対応させる費用と、共通費にする費用 |
| 基準 | なぜその部門へ配賦するか、根拠資料を取得できるか |
| 頻度 | 毎月の処理と、基準を見直す時期 |
| 表示 | 配賦前と配賦後のどちらの利益を確認するか |
| 変更 | 組織・業務の変更時の承認と、比較への影響 |
利益の良し悪しだけを見て毎月基準を変えると、前月比較が難しくなります。採用した理由と変更履歴を残し、管理目的に合うかを継続して確認します。
未分類と全社合計を毎月照合する
月次では、売上・費用の未分類、部門間の付替え、共通費の配賦、前月から大きく変わった項目を確認します。部門別の合計と全社の試算表を同じ期間・基準で照合し、差があれば理由を残してください。
部門別資料が会計帳簿以外の調整を含む場合は、全社会計とのつながりを説明できるようにします。案件別の採算を見る場合も、対象期間や売上・費用の対応が違わないか確認します。
資料には作成担当と確認日を決め、経営者との打合せでは「なぜ動いたか」「何を変えるか」「翌月に何を確認するか」まで記録します。毎月の工程は月次決算を早める経理フローも参考になります。
部門別の利益管理を相談する
お問い合わせには、部門・店舗・案件の数と種類、現在見ている資料、判断したいこと、使用する会計・販売等のソフトをお知らせください。最初から配賦基準を決めておく必要はありません。
岡田健志公認会計士・税理士事務所では、必要な管理区分、売上・費用の集計、共通費の配賦、毎月確認する資料を整理します。現行ソフトで進める案と変更する案を含め、管理会計・財務顧問としての支援範囲と料金をご案内します。
よくある質問
部門別会計を始めるには、会計ソフトの変更が必要ですか?
必ずしも必要ではありません。現在の製品・プランで必要な区分、入力、配賦、帳票を扱えるか確認します。機能と毎月の運用を試し、設定の改善と製品変更を比較します。
共通費はすべて売上高の割合で配賦してよいですか?
費用の性質と管理目的に合うかを確認します。人数、使用面積、作業時間等も候補ですが、一律に決めず、根拠資料を継続して取得できる基準を選びます。配賦前後の利益の見方も整理してください。
部門別と案件別の利益を両方見たい場合も相談できますか?
相談できます。部門・店舗と案件の役割を分け、売上と費用に必要な情報を付ける方法を検討します。現在のデータとソフト機能を確認し、継続して作成・照合できる管理資料を設計します。
執筆:岡田健志(公認会計士・税理士)。関連資料確認日:2026年10月15日。