税務・確定申告
夜職の確定申告、税理士任せで大丈夫?申告書を確認するセカンドオピニオン
今の申告、5つの絵でチェック。
税理士を変える前に、中身を確認できます。
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「毎年、税理士さんに任せています。税金は言われた金額を払っていますが、申告書の中身はよく知りません」
ホステスなど夜職で働く方から、このようなお話を聞くことがあります。明細や領収書を渡すと、ほどなく「終わりました」と連絡があり、言われた通りの税金を納める。それを何年か続けるうちに、「本当にこれで合っているのだろうか」と不安になるケースです。
結論からいうと、依頼先を変えなくても、申告書の控えと計算の根拠があれば、中身は別の税理士が確認できます。 そして、ご自身でも収入と経費を簡単に記録しておけば、申告の内容を自分で確かめられるようになります。
この記事では、今の申告を確認するときの順番を整理します。
申告書で確認したい5つのポイント
1.収入金額が、明細の合計と合っているか

CHECK 01
全部のお店の明細と、申告書を見比べる。
報酬は、税金などを差し引く前の金額を確認。
詳しく読む:収入の合計
申告書の収入金額が、お店ごとの明細を合計した額と合っているかを見ます。報酬の場合は、税金などを差し引く前の金額が基準です。手取り額だけで集計していないか、掛け持ちのお店が漏れていないかも確認します。国税庁「収入金額とその計算」
2.給与と報酬が、区分して申告されているか

CHECK 02
給与と報酬を分けて確認。
お店ごとに、契約内容や働き方も確かめます。
詳しく読む:給与と報酬
給与として受け取った分と、報酬として受け取った分では、所得の計算方法が異なります。お店ごとに、どちらとして申告されているかを確認します。呼び方ではなく、契約内容や働き方で区分する点は、「夜職の確定申告|天引きされていても、申告は必要?」で解説しています。
3.必要経費の内訳を説明できるか

CHECK 03
「何のための支出か」を説明できる?
仕事に使った部分と、私生活の支出を区分します。
詳しく読む:必要経費
収支内訳書などに載っている必要経費の内訳を見ます。衣装代、美容代、タクシー代、贈答品などは、仕事との関係や私生活との区分が問題になりやすい支出です。
私生活と仕事の両方に関係する支出は、業務に必要な部分を明確に区分できる場合に限って、その部分を必要経費にできます。国税庁「必要経費の知識」
確認したいのは、金額の大小よりも「なぜこの金額を経費にしたのか」を説明できるかどうかです。領収書がない経費、渡した覚えのない経費、毎年同じような概算額が入っている場合は、依頼先に根拠を尋ねてください。
支出の具体例は、衣装・美容・交通費はどこまで経費になる?で、給与と報酬の違い、仕事と私生活の区分を整理しています。
4.源泉徴収された税金が、正しく反映されているか

CHECK 04
天引きされた税金が、申告書に入っている?
明細の合計と「源泉徴収税額」を見比べます。
詳しく読む:天引きの税金
報酬から差し引かれた所得税は、申告書の「源泉徴収税額」欄に記載して精算します。明細や支払調書の源泉徴収税額の合計と、申告書の金額が合っているかを見ます。記載が漏れていると、納める税金が多く計算されてしまいます。国税庁「確定申告」
5.消費税の確認がされているか

CHECK 05
所得税だけで、終わっていない?
過去の売上やインボイス登録などから、消費税も確認。
詳しく読む:消費税
報酬による売上が多い方は、消費税も確認が必要です。個人の場合、原則として2年前(基準期間)の課税売上高が1,000万円を超えると、その年は消費税の納税義務が生じます。インボイス発行事業者として登録している期間は、課税売上高が1,000万円以下でも納税義務は免除されません。特定期間の判定や課税事業者の選択など、基準期間の売上以外で課税事業者となる場合も確認します。国税庁「納税義務の免除」
所得税だけ申告して、消費税の判定がされていないケースもあります。
あわせて確認:作成した税理士の氏名
あわせて:申告書を作成した税理士の氏名
税理士が申告書を作成した場合は、申告書に税理士の氏名が記載されます(税理士法33条)。税理士・税理士法人以外の者が、申告書の作成を業として行うことは、有償・無償を問わず原則として禁止されています(税理士法52条)。国税局長に通知した弁護士など、法律上の例外があります。控えの記載欄が空欄のときや、依頼先の名前に心当たりがないときは、日本税理士会連合会の税理士情報検索サイトで登録の有無を確認できます。
なぜ「ブラックボックス」になりやすいのか
「控えがない」「計算が分からない」なら、確認のきっかけです。
申告の中身が分かりにくくなる理由
夜職の収入は、次のような事情で全体像がつかみにくくなりがちです。
- 複数のお店から、報酬や給与を受け取っている
- 日払いや現金払いがあり、手取り額しか記録していない
- 明細の差引額に、税金と衣装代・送迎代などが混ざっている
- 資料を渡したあと、申告書の控えを受け取っていない
- 税金の金額について、計算の説明を受けていない
どれか一つでも当てはまると、自分では申告の内容を確かめにくくなります。申告書には本人の名前で数字が載り、税務署への説明を求められるのも本人です。任せていても、内容は把握しておく必要があります。
まず、申告書の控えをそろえましょう
確認の出発点は、提出した申告書の控えです。次のものを、できれば直近の2〜3年分そろえてください。
- 確定申告書(第一表・第二表)
- 収支内訳書、または青色申告決算書
- e-Taxで提出した場合は、受付結果(受信通知)
- お店の明細、支払調書や源泉徴収票など、提出時に使った資料
控えが手元にない場合は、まず依頼先に請求してください。本人が提出した申告書ですので、控えを受け取ること自体は特別なお願いではありません。
収入と経費は、ご自身でも記録しておきましょう
明細・領収書を月ごとにまとめ、収入と経費を記録。
記録しておく項目を見る
申告を任せていても、収入と経費の記録は、簡単なものでよいのでご自身で残しておくことが大切です。手元に記録があれば、申告書の数字と見比べて、合っているかをすぐに確かめられます。
方法は、会計ソフト、エクセル、手書きのノートのどれでもかまいません。続けられる方法を選んでください。
- 収入:日付、お店の名前、差し引かれる前の金額、差し引かれた税金、そのほかに差し引かれた費用、手取り額
- 経費:日付、支払先、金額、何のために使ったか
- 領収書や明細は、月ごとにまとめて保管する
記録があると、依頼先への資料の受け渡しも早くなり、税務署から質問を受けたときにも説明しやすくなります。なお、報酬を事業所得として申告する方は、白色申告でも記帳と帳簿・書類の保存が必要です。国税庁「白色申告者の記帳・帳簿等保存制度」
会計ソフトのfreeeを使う場合は、当事務所で初期設定や日々の入力方法をお教えします。freee導入・運用サポートを見る
誤りが見つかったときの手続き
少なく申告・多く申告・未申告で、手続きは変わります。
手続きの違いと期限を見る
確認の結果、申告に誤りが見つかった場合は、内容に応じて次の手続きをとります。国税庁「確定申告の内容に誤りがあったとき」、「確定申告を忘れたとき」
| 状況 | 手続き |
|---|---|
| 納めた税金が少なかった | 修正申告 |
| 納めた税金が多かった | 更正の請求(原則、法定申告期限から5年以内) |
| 申告していない年がある | 期限後申告 |
税金が少なかった場合や申告していない場合は、本来の税金に加えて加算税・延滞税がかかることがあります。ただし、税務署から調査の通知を受ける前に自主的に申告すれば、加算税が課されない、または軽くなる取扱いがあります。気づいた段階で早めに手続きすることが大切です。
反対に、源泉徴収税額の記載漏れなどで納め過ぎていた場合は、原則として法定申告期限から5年以内に更正の請求を行える場合があります。税務署の確認を経て減額更正となれば還付されます。対象年と申告状況を確認しましょう。
手続きの選び方と相談前に整理する事項は、未申告・過去の確定申告を見直すときで説明しています。
依頼先を変えるかどうかは、確認してから決めましょう
セカンドオピニオンは、今の依頼先を否定するためのものではありません。確認して問題がなければ、安心してそのまま任せることができます。
相談と依頼先変更について読む
- 今の依頼先に知らせずに相談することができます
- 税理士には、業務で知った秘密を守る義務があります(税理士法38条)
- 依頼先を変える場合は、預けている帳簿・資料の返却と、過去の申告書控えの受け取りを先に済ませるとスムーズです
まずは、控えを持ってご相談ください
「中身を見たことがない」「税金の計算を説明してもらったことがない」という段階でも、相談の出発点になります。申告書の控えと、お店の明細が数枚あれば、確認を始められます。
大阪市福島区の岡田健志公認会計士・税理士事務所では、国税OBの公認会計士・税理士が、今の申告書と資料を拝見し、気になる点を整理してお伝えします。顧問契約のない方からの、スポットでのご相談も受け付けています。
※この記事は、国内に居住する個人の所得税・復興特別所得税、消費税についての一般的な説明です。個別の申告内容の当否や手続きは、対象年、契約・勤務の実態、資料の状況などを確認して判断します。
イラストは説明用のイメージです。